◇14日 体操 パリ五輪2次選考会兼個人総合全日本選手権最終日(群馬・高崎アリーナ)

 既に代表に内定している橋本大輝(22)=セントラルスポーツ=が合計176・164点で史上7人目となる4連覇を果たした。両腕をけいれんするアクシデントをものともせず、決勝の6種目合計は87・965点で12日の予選に続きトップ。2位は岡慎之助(20)=徳洲会、3位には萱和磨(27)=セントラルスポーツ=が入った。

 橋本の目線は日本一ではなく世界一に向いていた。腕をつるアクシデントがありつつも、2位の岡に3・9点差をつけて圧勝。パリでの金メダルに向けて課題と収穫の多い大会となり、自然と笑みもこぼれた。

 「やべ」

 最終種目の鉄棒で思わずつぶやいた。直前の平行棒では演技中に両腕がけいれんするも、最後まで演技をやり通した。最後の鉄棒でも同じ感覚、現象が起きた。F難度の「リューキン」を回避し、「体力面の不安が出てしまった」と悔しそうに話した。

 それでも、決勝6種目は計87・965点。2021年世界選手権個人総合王者の張博恒が、昨年の杭州アジア大会でマークした89・299点を世界一への”目印”にしていた。東京五輪の王者は言う。

 「前半の4種目まですごく調子がよかった。今日は89点いくかな、もしかしたら本当に90点いっちゃうかもなって思いながら演技していた。鉄棒さえいっていれば…。悔しいですね。めちゃ悔しい」

 ただ、言葉とは対照的に表情は明るい。今季の初戦。冬場の練習の成果を感じ、点数にも反映された。「(5月の)NHK杯がパリ五輪前の最後の大会になる。体力面の課題を解決したい。いいですねやっぱり、課題があるのは」。橋本はいたずらっぽく笑った。2大会連続の金メダルへ視界良好。五輪王者は、実戦で得た”宿題”を解く作業に入る。